歯周病は自分で治すもの。(虫歯を治すには歯を削ったりするため歯医者さんが治すが)
テレビの健康番組で権威ある歯科医の言葉です。えっ?自分で治せるの?そこでいろいろ調べていくうちに事実がわかってきました。
まずは歯科医に今の歯の状態を診てもらってからの話ですが、歯周病は逆に「自分でしか治せない」と言っても過言ではないのです。
まず、虫歯と歯周病を混同して同じ感覚で治そうとしては失敗します。虫歯は確実に歯科医しか治せません。削ったり、被せたりは自宅で自分では決してできないですからね。ただ、歯周病は…。
虫歯と歯周病、どう違うのか知ってるだけで予防方法の意識が全くかわるので少し面倒ですが前段階としてお話しておきます。
歯周病と虫歯の違い
歯周病は細菌による感染症です。
歯と歯ぐきの間に付着したプラーク(歯垢)に潜む細菌のかたまりが原因。
酸素があると生きていけない菌(嫌気性菌)なのでプラーク(歯垢)で蓋をされたところ、歯周病ポケットなど酸素が少ない場所に繁殖しやすい。
虫歯は酸素がないと生きていけない菌(好気性菌)。空気に常に触れている歯の表面にできたプラークの中で繁殖して糖分をエサにして作った酸で溶かして歯にダメージを与えます。
全く性質の違う2つの菌。虫歯菌と歯周病の原因菌は「棲み家」が違うんです。
小さい頃から虫歯予防のための歯みがき方法って教えてもらっていましたよね。少なくとも現在40代以上の方の習った昔の歯みがき方法は今とかなり違うはずです。でもそれでは歯周病ポケットや歯と歯の間、歯と歯ぐきの間などに隠れているプラークは大部分がスルーされていることになります。もちろん、子供の頃なので虫歯対策のブラッシングですし、その頃の日本ではまだ「歯周病」ではなく「歯槽膿漏」と呼ばれ、中年以降がなるものだという意識だったと思います。
大人になり、歯科の医学も発達した今は「歯のブラッシング方法」もバージョンアップが必要になりました。(年齢的な問題にも対応必要ですし)
歯周病予防として自分でできるのはプラークをとる事につきますが、小さい頃に習った歯磨き方法ではNGなんです。
世代によっていろいろな「歯みがき、ブラッシング方法」の差はあると思いますが、今一度歯周病対策として正しい効果的なブラッシング方法を習慣づけて歯周病を自分の手で改善していきましょう。
※もちろん歯科医による2ヶ月に1度(もしくは月に1度)くらいの定期的な検診は必至です!
歯周病予防のコツを知ろう
歯周病も虫歯も原因は歯の表面や歯と歯ぐきの隙間に残ったプラーク(歯垢)。
意外と柔らかい付着物なのできちんとブラシを正しく当ててあげればそんなに強い力は必要ないです。
ブラシの当て方とプラークが付きやすい場所の把握、習慣づけができれば歯周病はびっくりするほど改善されます。
歯垢(プラーク)が溜まりやすい3大不潔ゾーン
- 歯と歯ぐきの境目
- 歯と歯の間
- 奥歯のかみ合わせの溝
この3つのポイントを意識してブラッシングするとかなり磨き残しが減ります。
ブラッシングの目的は「プラーク」を落とすことにつきます。(何度も言います!)
ただ「歯を磨いた」という事実だけでなく、ちゃんと「プラークを落とす」ことが大事です。
自分でできる歯周病予防のブラッシング法
ではいよいよ具体的なブラッシング方法です。
私が通う歯科医に実際に教えてもらったのは
- 自分がどの歯を磨いているか頭に描きながら1本づつブラシを当てる
- 1本の歯に対して表面、裏面、左右の側面、かみ合わせの平らな面を磨く(5面)
- 歯1本につき約10秒、全体の歯みがきは10分〜15分位。
- 1日1回でもいいから、時間をとってプラークをとるという丁寧な歯みがきをしてほしい
食事の度3分以内になんて昔教えこまれた歯みがき方法はとてもできないとしませんでしたが、毎朝&寝る前の普段の歯みがきに加えて(またはどちらか時間の余裕のある方に)1日1回丁寧なブラッシングをするだけというならできそう…と思いませんか。
- 歯と歯ぐきの間のプラークをとるためにブラシは45度で歯に当てる
- 歯の裏側はブラシを縦に、かみ合わせの部分は面のくぼみに当たるように垂直に当てる。
- 歯と歯の間は必ず歯間ブラシか、デンタルフロスでプラークをとる
頭のなかで自分の歯を想像しながら、その場所に付着したプラークをとっているんだという気持ちで磨くとすっきり気分に。
お恥ずかしい話ですがそれまで歯間ブラシなどは日常の歯みがきで使ったことがなかったのではじめは抵抗があったのですが(面倒だな〜と)今では歯間ブラシ使わず、適当に磨いたあとにはなんだか気持ち悪い気がします。
ちゃんとプラークがとれ、舌でさわってみた時「つるつる」とした感触、クセになります。
あと大事な注意点ですが、歯と歯ぐきの間にある薄い膜のようなものは傷つけないようにして下さい。
細菌の侵入を防ぐ「接合上皮」という大切な細胞です。普段あまり気が付かないんですが良く見たらありますよね、うす〜い膜のようなものが。
あくまでも歯間ブラシやデンタルフロスを使うときは隣接面の歯ぐきの上、歯の側面に付着したプラークをこそげて掃除するようにして下さいね。
そしてゴシゴシ歯と歯ぐきの境目を力まかせにこすると擦過傷もおこしてしまうのでご注意を。
最後に
歯周病は歯医者さんに通い続けなければ治らない。そういう観念から諦めかけていたところ、ある日テレビで高名な歯科医の方が
「虫歯は歯科医でしか直せないが、歯周病は自分でしか治せない」と話されたのが衝撃的でした。そしていろいろ調べていくうち歯周病は毎日の自分の手入れが大事で、いくら歯医者さんに言ってブラッシングの指導や歯垢を撮ってもらっても、プラークは数時間後にはまた付着する。
自分の自宅での正しいブラッシングの習慣づけが歯周病を治すのだということにやっと気づきました。なかなか予約の取れない歯医者さんに高い医療費を払って時間を割いて通うことから開放される。そしてちゃんと磨いたら気持ちいい。どれだけ今までいい加減な磨き方をしていたか、歯磨き粉の爽やかなキシリトール効果でごまかしていただけだった。大いに反省しました。歯周病は菌が全身にも回って命にかかわる病や、認知症の発症の関わりもわかってきました。口腔内の健康は身体全体の健康に密接につながっています。
たかが歯みがき、されど歯みがき。少しでも歯周病予防のお役に立てたならと思い、備忘録も兼ねてシェアさせていただきました。
(もちろんしっかり2ヶ月に1回くらいは歯科医に定期歯科検診に行き、今の状態を正しく把握するのは必至です!)